【ケース】副業所得15万円、「申告不要」と思い込んだ会社員
佐々木さん(仮名・35歳)は会社員として働きながら、2025年の1年間に副業のWebライティングで約15万円の所得を得た。「副業が20万円以下なら申告不要」という情報を目にして、確定申告も市区町村への申告もしないまま、2026年3月15日の期限を過ぎてしまった。しかしこの「申告不要」は所得税だけの話であり、住民税には当てはまらない。佐々木さんは、住民税の申告が漏れた状態になっている。
なぜ起きるのか
所得税では、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の人は、確定申告をしなくてもよいとされている(出典1)。いわゆる「20万円ルール」だ。ところが、住民税にはこの20万円という線引きがない。横浜市は、住民税は所得の多少にかかわらず給与所得と合算して税額を計算するため、確定申告をしなかった場合は住民税の申告が必要になると案内している(出典2)。
住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得をもとに計算され、その年の1月1日時点で住所のある市区町村が課税する(出典3)。つまり「所得税は申告不要でも、住民税の申告だけは残る」という構造が、勘違いの起きる原因になっている。なお、退職した年など給与所得者でも確定申告が必要になるケースは副業以外にもあるため、自分がどちら側かの確認が出発点になる。
準備していないと、こうなる
- 副業所得が20万円を超えていたのに申告していなかった場合は、期限後申告の扱いになり、納める税金のほかに無申告加算税や、納付の日までの延滞税がかかることがある(出典4)。
- 副業所得が20万円以下でも、住民税の申告をしないままでは副業分が住民税の計算に含まれず、申告が必要な状態が解消されない(出典2・出典3)。
- 住民税の申告期限は毎年3月15日(横浜市の場合)で(出典5)、過ぎてから気づいた場合は住所地の窓口への相談から始めることになる。
準備・対処すれば防げる
選択肢1:所得税の確定申告をする(20万円超・還付を受けたい場合)
副業所得が20万円を超えていた場合は、気づいた時点でできるだけ早く所轄税務署に期限後申告をする(出典4)。税務署の調査の事前通知より前に自主的に申告すれば、無申告加算税は納付すべき税金の5パーセントにとどまり、法定申告期限から1か月以内の自主的な申告で一定の要件を満たせば課されない(出典4)。確定申告をすれば住民税の申告をしたものとみなされるため、市区町村への手続きは別途不要になる(出典2・出典5)。
選択肢2:市区町村に住民税の申告をする(20万円以下の場合)
副業所得が20万円以下で確定申告をしないなら、1月1日時点の住所地の市区町村に住民税の申告書を提出する。横浜市の場合、期限は毎年3月15日で、提出先は住所地の区役所税務課、郵送での提出もできる(出典5)。期限を過ぎたことに気づいたときは、放置せず住所地の窓口に相談して提出したい。副業を今後も続けるつもりなら、開業届を出していない場合の扱いも合わせて確認しておくと判断がしやすい。
選択肢3:税額が確定した後の納付方法を確認する
住民税の納付には、市区町村から送られる納税通知書で納める普通徴収と、勤務先が給与から差し引いて納める特別徴収がある(出典3)。申告の結果まとまった納付が生じて負担が大きいときは、住民税の分割や猶予を相談する手順が参考になる。納期限の前に市区町村の税務担当へ相談するのが基本だ。
一覧で比較
| 選択肢 | 向いている状況 | いつまでに | 根拠・窓口 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 確定申告(期限後申告) | 副業所得が20万円超、または還付を受けたい | 気づいたらできるだけ早く | 所轄税務署(出典1・出典4) | 無申告加算税・延滞税の対象になり得る |
| 住民税の申告 | 副業所得が20万円以下で確定申告をしない | 毎年3月15日(過ぎたら早めに窓口へ) | 1月1日時点の住所地の市区町村(出典2・出典5) | 確定申告をすれば別途の申告は不要 |
| 納付方法の確認 | 申告後の納付が負担になりそう | 納期限の前 | 市区町村の税務担当(出典3) | 放置せず早めに相談する |
事前にできる準備
- 副業の収入と経費を月ごとに記録し、年間の所得が20万円を超えそうかを年内に把握しておく
- 確定申告をするかどうかを早めに決め、しない年は住民税申告の期限(3月15日)を手帳やカレンダーに入れておく
- 勤務先の源泉徴収票や副業先の支払明細など、申告に使う書類を1か所にまとめておく
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 横浜市 よくある質問 給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は… https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/faq/answer2.html
- 総務省 地方税制度 個人住民税 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
- 国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
- 横浜市 市民税・県民税の申告について https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/y-shizei/kojin-shiminzei-kenminzei/kojin-shiminzei-shosai/shiminzei-shinkoku.html
※本記事は制度の一般的な解説であり、個別の税務相談・税額の判断を行うものではありません。実際の手続きは、お住まいの市区町村の担当窓口、所轄税務署、または税理士にご確認ください。

